大判例

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大阪高等裁判所 昭和32年(ネ)820号 判決

被控訴人(須々木証券株式会社)が大阪証券取引所の会員で有価証券の委託売買業を営み、大山達夫または久住博名義の下にマージン取引の委託注文をうけ、その委託に基き同取引所において株式の売買取引をした結果昭和二八年一一月七日現在において金七三一、〇二五円の損失をみるに至つたことは、控訴人(角倉庄一)の争わないところである。

被控訴人は、大山達夫または久住博名義は控訴人(角倉庄一)の別名であるから右取引の委託者は控訴人であると主張し、控訴人はこれを訴外角倉綿業株式会社であると主張するので案ずるに、証拠によれば、控訴人はかつて被控訴人に対し角倉扶美子名義で株式の現物取引を委託したことがあつたが、昭和二七年七月頃さらに株式の信用取引を委託するに際り、被控訴人の店員宮崎健四郎に対し本名を表わさぬよう依頼したので、同人の発案として、最初大山達夫、後に久住博の名義を使用して右取引を委託することの合意が成立したことを認めることができる。もつとも証拠によると、本件取引に関する大山達夫名義の口座へ訴外角倉綿業株式会社名義口座の利益金から昭和二八年七月二四日付で金四八九、八八〇円の欠損の充当がなされていること、右大山名義の口座の入金は同訴外会社の支出によるものがあることが看取されるので、右大山と同訴外会社は被控訴人との取引の関係では同一の計算に立ち、従つて両名は同一人格であるから本件取引の委託者は同訴外会社であるとの控訴人の主張は一応肯認できそうであるが、右損益振替記帳の点については同訴外会社の代表取締役である控訴人の被控訴人に対する指示によりなされたことは証拠により認めることができ、またこの認定の事実を参酌して考えると、右大山達夫名義の口座の入金が訴外会社の支出によるものであるとの一事は必しも本件取引の委託者が同訴外会社であるに足りないから、これを以てするも右認定を覆えすことはできない。

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